ガンプラから車・バイクのプラモデル、それ以外の「つくる」こと。
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メタリック塗装について

「見える」ということ
 
fig001.gifミニチュアにおいて、実物の「何分の一」という定義がある以上、通常はその数値のまま縮小したと見られる表現が為されるのが普通です。当然、形状だけでなく、モノの表面に描かれた模様等もその縮尺率に応じて縮小されて表現されます。
 
例えばあるモノの表面に、直径10センチの円が描いてあった場合、1/100スケールのミニチュアの場合、1ミリの円を描くことになります。
 
しかしここで問題が出てきます。もし、実物に直径1ミリの円が描いてあった場合、1/100スケールのミニチュアではどのように表現されるのでしょうか。
単純計算すると、1ミリ×1/100は0.01ミリです。では0.01ミリの円を、ミニチュアに描くことは可能でしょうか。
 
人間の目には、認識可能な限界点があります。目の性能、目の解像度といってもいいかも知れません。
顕微鏡で見えても、肉眼では見えないものはたくさんあります。
 
また、距離が離れると、物は小さく見えますので、近くで認識可能なものでも2メートル離れれば見えないという場合もあります。人間にとって、見えないということは「無い」ということであり、小さなものは距離をとると「無くなってしまう」ということになってしまいます。
 
千鳥格子の柄のスーツを着た人物をミニチュアにしたとき、千鳥格子を離れてみたときにどのように見えるかということを考えて色を塗るのか、あえてオーバースケールでも千鳥格子的な表現で塗装するのか、表現の方向性の問題とも言えるかも知れません。(どちらがいいとは言えない)
 
 
メタリック塗装
 
ここで、ミニチュアのカーモデルを例に、メタリック塗装を考えて見ます。
 
メタリック塗装というのは、簡単に言うと非常に細かな金属片の入った塗料を塗装した上に、クリアーを塗り重ねコーティングした塗装です。
単色のソリッド塗装と比べて、金属片の乱反射が起こることで、通常の反射の周辺に「キラキラとした」反射が起こり、グラデーションのようになります。また、上塗りのクリアーにも反射が起こるため、深い奥行きのある色合いに見えます。
fig003.jpg

 
実車のメタリック塗装されたボディを近づいてよく見ると、この細かな金属片が砂のようにキラキラしているのが見えます。
 
しかし、通常クルマ全体を見る(見渡す)距離、2~3メートル離れると、粒子感はあまり感じず、キレイなグラデーションの反射を感じる方が強くなります。
 
ここで、一般のソリッド塗料と「シルバー」の違いを考えてみます。
 
シルバーは、キラキラした非常に細かな粉末のようなものが混じっています。これはシルバー塗料独特の反射を表現するためです。これがないと、ただのグレーになってしまいます。
 
問題は、この「キラキラしたもの」です。シルバーにもたくさんメーカー・種類があり、その「キラキラ」の目立ち具合は千差万別ですが、比較的目立たないものでも限界があります。
 
ミニチュアモデルは、実車のように「2~3メートル離れて」見るものではありません。どちらかというとかぶりついて見ることが前提です。だって「小さい」から。小さくなればなるほど、近くで見るのです。ここにミニチュアモデルならではの難しさがあります。
 
近くでみたときに、その「キラキラ」感が、過剰に感じられてしまうのです。塗料の中身(材料)までは1/100に縮小出来ませんから、当然実車で感じた感覚よりも大げさに感じてしまいます。
最初の話で言えば、「見えなくていい」粒子が、「見えてしまっている」違和感となっているわけです。
 
 
メタリック表現
 
ここで話を少し変えて、「なぜ」メタリックなのかという所を考えて見ます。
 
fig004.gif

単色・ソリッド塗装は図のように、光がそのまま反射され、目に入ってきます。表面がツルツルの平面であれば、理論上は光源のカタチがキレイに反射されることになります。ツヤというのを感じるのはこれですね。
 
もしも、表面がざらついていたら、図のようにそのざらつきの具合・角度により、光がいろんな方向に反射されますので、ボンヤリした反射となります。つや消し塗装等はこのようになっています。
 
fig005.gif
 
 
次に一般的なメタリック塗装です。
fig002.gif

図のように、下に塗装した塗料と、上に塗装した塗料の双方で反射がおこり、ふたつの反射が目に入ってくることになります。
 
下層にキラキラした塗料を塗装した場合は、上に塗ったクリアーの反射と下に塗った塗装の反射はまったく違いますので、違う反射の仕方が2重に重なったような効果が現れます。また上塗りのクリアーは透き通るため、下の塗料の反射に対して色を付けます。これが、グラデーションのように明暗が付く原因です。
こういった効果(深み)を表現するのが、「メタリック塗装の理由」と言えるかもしれません。
 
しかし、ここで前述の問題があります。実車を縮小して再現するミニチュアにおいて、実車とは違った感覚で捕らえられてしまうようでは、本来の目的からずれてしまうことになります。
 
実車における「メタリック塗装」と同じように見える“ミニチュアの”「メタリック塗装」を行なうにはどうすればよいのでしょうか?
 
まず違和感のある原因そのもの、「メタリックの粒子感」を目立たなくする方法を考えます。
 
「メタリック塗装らしさ」というものは、先にも述べたように上層の平滑面の反射と、下層のメタリック塗装面の反射の2重の反射の相互効果が大きな特徴となっています。
これを踏まえて、「下層のふわっと広がる反射感」を、シルバー系(キラキラ系)の塗料を使わずに表現することを考えます。
 
 
例として、ブルーメタリックを塗装する場合
 
まず、下層に塗る塗料として、ほぼ白に近い色を準備します。
 
それを、「ツヤ消し」で塗装します。ツヤ消しは、前述のように、表面が平滑でない状態になっていて、写りこみや反射がぼやけた感じになります。
 
ツヤ消しで塗装した部分が乾燥したら、上塗りとして「基本色のクリアー」を塗装します。例の場合だと、クリアーブルーです。色味はここで決まるので、塗料を配合して調整します。
これを一気に厚塗りすると、せっかく下で塗装したツヤ消し色の表面がなだらかになってしまい効果が出ないので、薄く砂吹き→乾燥をくりかえします。ある程度乗ってきたところで最後にクリアーにてコートします。
(ツヤ消しの凹凸を消さずにクリアーが乗るなんてことが出来るのかどうか…。ここが重要なポイントかも知れません)

(ちなみにカラーが付いたクリアーは、重なり具合(塗料の厚み)で色が濃くなっていきますので、均一に塗装するのは大変難しいです。)

三層になりますが、最後のクリアーはクリアーブルーの保護になります。クリアーブルーは厚みによって色が濃くなったり薄くなったりするので、磨き出しのときにムラにならないようにです。
 
これで、上層のクリアーと、下層が、異なる反射率を持った塗装が完成するのではないでしょうか。シルバーを使用していないので、へんな粒子感を感じることもありません。
 
fig007.gif
 
これで“実車の”メタリック塗装と近い感覚のメタリック塗装(風)表現が出来る…かな。
 
実践した結果は、次回のアルピーヌA110のボディ塗装にて。
 
(※一応クルマ用塗料製品の商品開発担当者だったことがあるのですが、勢いで書いたので間違った記述があるやも知れません。また、後半はまだ実践していない内容(予測)なので、これが上手くいくかは、やってみた後でレポートします。ご了承くださいね) 
 
  

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